2015年秋学期の模様

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はじめまして。SIPA1年のYと言います。早いもので、ニューヨークに来てから1年が経とうとしております。タイムズ・スクエアをキョロキョロしながら歩いていた頃に比べると、複雑な地下鉄網を颯爽と乗りこなし、昼はウォール・ストリートを闊歩、夜はルーフトップバーでカクテル、休日はセントラル・パークでジョギング等、今やすっかりニューヨーカーが板についてきました。

さてさて、冗談はこのくらいにして、本題です。そろそろこの秋からSIPAに来られる方も準備を始められていることかと思います。期待に心を膨らませていらっしゃるであろう皆さんに、昨年秋学期の私の経験をザッとスナップショット的にお伝えできればと思います。あくまで、個人の感想であり、所属する組織も団体も何者も関わっていない徒然日記ですので、そのように御覧ください。

1.授業の模様

  • Politics of policy making

必修科目。Policy scienceの基礎を学ぶとともに授業でのディスカッションを通じて理解を深め、実際にpolicy memoを書く能力を身につける。毎週、理論を学ぶための論文だけでなくケーススタディのリーディングが課され、それらに基づいたディスカッションがクラスで行われる。扱ったケースは、ギリシャ債務危機、NY市警における犯罪率減少にかかる取り組み、IMFレポートに対する中国政府の対応、モディ印首相就任後の改革案等多岐にわたる。学期を通じて提出した5本のpolicy memoに対してはTAから具体的なフィードバックが行われ、授業で学んだ理論を実際のケースに当てはめる上で、データによる裏付け、出来る限り具体的な政策提言の必要等、TAから個別学生ごとに丁寧な指導が行われた。秋学期の授業の中で最もチャレンジングであり、かつ最も考えさせられることが多かった授業である。

  • Macro Economic Analysis

必修科目。学部程度のマクロ経済学の基礎を学ぶ。いわゆる標準的なマクロ経済学の理論を学ぶ上で、常に現実の事例を引き合いに出して学ぶことができた。特に学期終盤において我が国のアベノミクスの取り組みが比較的長い時間を使って紹介され、「3本の矢」が一国の経済政策を考えるフレームワークを非常にわかりやすく表す例とされていたことが印象的であった。学期の最後にはやはりpolicy memoをグループで作成する課題が課せられ、授業で学んだ理論を如何に実際の政策提言に結びつけるかということが重視されていると感じた。

  • Quantitative Analysis I

必修科目。計量経済学の基礎を学ぶとともに、計量ソフトStataの入門編も兼ねる。計量経済学は少し触ったことがあったが、毎週課される課題に答えながら理論的に整理を行うことができた。Stataを用いた簡単な実践問題も毎週課せられ、実践的なテクニックを身につけることもできた。

  • Accounting for public and international affair

必修科目。会計学の基礎を学ぶ。簿記初級の貸方借方から始まり、財務諸表を読むための基礎的な能力を身につけた。会計は以前一通り学んだことがあったため、それらの知識のリフレッシュという側面が大きかった。ただ、授業で実際の企業の事例に結びつけて、会計的処理がいかに企業経営に影響をあたえるかが具体的にわかりやすく説明されていたことが印象的であった。

  • English writing for public and international affair

必修科目。インターナショナル学生のための英語ライティングを徹底的に鍛えるコース。13人程度と秋学期に履修した授業の中では最も少人数のクラスの中で、英語ライティングの能力をインテンシブに成長させることができた。特に、日本語で文章を書く際にはあまり意識することがない、文章全体からパラグラフあるいは文章のつなぎに関する論理的な構造を課題ごとに意識させられた。毎回短いライティングの課題が出されるだけでなく、4本の5ページ程度のエッセイが課され、担当教授からの赤ペン指導を受けることができる。文章の論理構造だけでなく特に我々外国人にとって壁となる前置詞の使い方などを自分が実際に書いた文章に基づいて指導を受けられたことが大変ためになった。

  • 授業総括

最初のセメスターということもあり、授業の殆どが必修科目で埋まることとなった。また、授業の内容自体は既に学んだことがある会計やマクロ経済があったこともあり取り組みやすいものであった。しかしながら、印象的であったのは、どの授業も生徒がしっかりと勉強をするような仕組みがうまく仕組まれていること。中間試験や期末試験で一発勝負をさせるのではなく、隔週や毎週課せられるプロブレムセットを解かせることにより、知識やスキルを1つずつ積み重ねさせる指導方法は効果的であると感じた。また、教え方という意味でも、実際のケースを多く扱ったり、授業中にシミュレーションを取り入れたりして、生徒が興味を持って(退屈な)理論を学ぶことができる工夫がそこかしこに取り入れられていた。

ディスカッションの授業においては、日本人のご多分に漏れずスピーキングに不安があったため、できるだけ意識して積極的に発言しないとどうしても一言も発言せずに終わってしまうことがよくあった。実際、学期の初めころにTAからもっと授業中に発言するよう指摘を受けることもあり、学期途中からはつまらない意見でもいいので必ず授業中一度は発言することを心がけることとした。

*ちなみに、最近読んでいる”Quiet: The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking”はこういったintrovertな日本人を勇気づけるものであり、オススメしたい。

ライティングについては、履修したコースでライティングの基礎を学んだことが他の授業への波及効果も大きく、実り多かったと感じる。最初に英語ライティングで気をつけるべき骨組みを理解できたことは今後のレポート作成などにも役立つ財産となるであろう。

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2.課外活動の模様

  • ジャパントリップ

3月の春休みに実施されるジャパントリップの準備を、オーガンナイザーの一員として行った。本年は例年(40名程度)を上回る45名の参加者を集めることができ、10名程度の日本人を中心とするオーガナイザーで協力して準備を進めた。

ジャパントリップについてはまたの機会に詳しく話したい。

  • Japan Study Student Association (JASSA)

Japan Study Student Association (JASSA)は、日本の伝統文化や言語、経済、政治などを日本に関心がある学生達に学んでもらうための機会を提供する学生団体である。新体制のボードメンバーが本年1月に発足した。月に2回程度のペースで日本語の練習会を開いている他、映画の上映会(「七人の侍」など)、他のアジア学生団体(Greater China Initiative, Korea Focus等)とともに開催したLunar New Year Party、日本人の政策実務家をお招きしての講演会、等様々な企画で学校生活に彩りをあたえている。

普段学生と接していても日本の文化や歴史に関する興味はまだまだ高いように感じる。そういった入り口を活用して日本の国際社会(とまで言うと言い過ぎであるが少なくとも、SIPA)におけるプレゼンスを高めることができるよう取り組んでいきたい。

  • United Nations Study Working Group

コロンビア大学はマンハッタンに国連本部が位置するという地理的なアドバンテージもあり、国連研究が盛んであることで有名である。私が秋学期終盤からボードメンバーとして運営に参加しているUNSWGはSIPAにおける最大の学生団体の一つとして、国連に関するインターンシップやキャリア情報の提供、あるいは国連職員を招いたパネルディスカッション等のイベントを開催している。

学生団体のボードメンバー決定の際の選挙運動は立候補していなくとも、その議論や票集めの動静を観察しているだけでも刺激的であった。留学生が半数を占める多様な団体であるSIPAの学生の中で「民主的に」リーダーを選出し、それぞれの役割を果たしていく中に、少し大げさではあるが国際社会における意思決定の原型のようなものを見た気がしている。また、感銘をうけたのが、学生達が物怖じせずに次々といろいろな団体のボードメンバーに立候補することである。国際社会で声が小さいと言われる日本人であるが、こういった機会を通じて手を挙げることに慣れていく必要があると感じた。

3.総括

これまで、学生としてSIPAで過ごして最も良かったことは、文字通り世界中から集った素晴らしい友達と巡り合うことができること。皆がポリシースクールに来るだけあって、何らかの形で”make the world a better place”というモチベーションに支えられているのであろうか、バックグラウンドは違えど、議論していて共通の土台があるように感じる。一度社会人を経験した後で、こういった環境でもう一度学生に戻って青臭い議論を戦わせることができるのは、本当に幸せなことである。

また、こういった幸せの裏返しとして、日々堕落しがちな私として特に意識しているのは、SIPAが何をしてくれるか?ではなく、自分がSIPAに何をできるのか?を問い続けるということである。学校から得られることはもちろん多いが、graduate schoolの学生として、学校から与えられるカリキュラムをこなすだけで十分ではないだろう。忙しい日々の中で、学友たちのSIPAにおける生活が少しでも実り豊かになるよう、微力ながら貢献していければ、と考えている。

少し真面目な話ばかりしてしまったが、ニューヨーク生活はもっとおちゃらけて楽しいものである。その話はまたの機会にできればと思う。

Y

 

 

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